子どもの睡眠不足の原因を探る。脳の発達や健康・学力にも影響が

近年日本の子どもは深刻な睡眠不足と言われています。
特に最近は、幼少期からスマートフォンやタブレットに触れる機会が増えなかなか寝付けなかったり、夫婦共働きによる社会的な夜型化が進むことで子どもの就寝時間も遅くなる傾向があります。

子どもの睡眠不足は健康面はもちろん、脳の発達や心にも影響してしまうとても深刻な問題なのです。
しかし子どもは自分が睡眠不足であることを自分で察知できません。

親や周りの大人が子どもの睡眠不足に気づくにはどのようなことに気をつければいのでしょうか?

子どもの睡眠は「脳の発達」や「健康面・学力面」においてとても大切

子どもの睡眠不足には、健康面だけでなく学力や脳の発達、さらには心の問題や発達障害などの様々な問題に関係しています。

健康面

子どもの睡眠不足で一番懸念されることは寝不足に伴う免疫力の低下です。

睡眠不足は体温の低下や交感神経・副交感神経の異常を招く恐れがあると同時に、睡眠中に分泌されるホルモンの働きの低下により、体のバランスが崩れてしまいます。

また、睡眠不足が理由で朝早く起きれなくなると、肥満や高血圧になりやすいとも言われています。
幼少期からの睡眠不足は、大人になった後の生活リズムにも大きく比例し、子どもの内だけでなく大人になった時の健康に悪影響を及ぼす可能性もあります。

脳の発達

睡眠と脳の発達には大きな関係性があります。

睡眠の質を上げることで脳がきちんと育って行きます。
質の良い睡眠とは、レム睡眠とノンレム睡眠の反復リズムをしっかり繰り返すことです。

<ノンレム睡眠とレム睡眠の正しい反復リズムとは>
ノンレム睡眠とレム睡眠が90分間の周期で繰り返されます。
一晩の中で4〜5回くりかえされることが、ノンレム睡眠とレム睡眠の正しい反復リズムと言われています。

幼少期の間に脳がしっかり育たないと、その後の学力や運動神経、人間関係にも大きく影響を与えてしまうのです。

学力面

ある調査では、5〜6時間、6〜7時間、7〜8時間と睡眠時間が長くなるにつれ、成績が上位の子どもが多いという結果が出ています。

寝ている間は脳が整理されているため、睡眠時間が長いほど脳の中で得た情報がしっかり整理され、睡眠時間が短いと脳の中で情報を整理する時間が失われます。
そのため子どもの寝不足はその日学習した記憶が定着せず、せっかく勉強をしても学力の向上につながらなくなってしまうのです。
学力を上げるためにも、しっかり睡眠時間を確保することが重要です。

心の問題

子どもの睡眠不足が続くと、イライラしたり喧嘩が増えたりなど感情コントロールに影響を及ぼします。
また、成長の遅れや注意力や集中力の低下、食欲不振などをもたらすため日々の生活にも悪影響となるでしょう。

子どもは自分で自分の感情をコントロールすることが、大人と比べて難しいもの。
イライラしている原因などがわからず友達との喧嘩が増えると、心を病んでしまったり登校拒否などにつながる可能性もあり得ます。

子どもの寝不足を親や大人が気が付くには

何度も言うように、子どもは自分で睡眠不足だと気が付くことができません
そのため、親や周りにいる大人が子どもが睡眠不足であるサインに気づくことが重要です。

では、子どもの睡眠不足のサインとはどのようなものなのでしょうか。
大きく分けて2つご紹介します。

常にイライラしている

理由や出来事がなくとも常にイライラしている場合は睡眠不足であるサインです。

イライラしてものに当たる、口調が攻撃的になるなどいつもの行動や言動と異なる場合は注意が必要です。
また、文部科学省の調査では睡眠不足の子どもは自己肯定感が低いとも発表されています。

「自分はできない・自信がない」
「自分が嫌い」

など、自己肯定が低い発言が多く見られる場合も睡眠不足の可能性があります。

日中や休日に寝過ぎてしまう

昼寝の時間が長かったり、休みの日になかなか起きてこず昼ごろまで寝てしまうなども睡眠不足のサインと言えるでしょう。

日中に寝てしまったり朝起きることができないのは、夜の睡眠がしっかり取れていないから。
日中に眠気が出てしまうと、授業の最中に寝てしまい勉強に追いついていけないケースも起こります。

子どもの学校生活のためにも、親や周りの大人が睡眠不足のサインに気がついてあげましょう。

子どもの睡眠不足を改善するには

子どもの睡眠不足を改善するには、まずは親や周りの大人がしっかり睡眠時間を作ることが大切です。

社会的な夜型化が進んだことにより、大人の就寝時間が遅くなることに比例し、子どもの就寝時間も遅くなってしまいます。
とくに幼少期の子どもは、一般的に1人で寝ることがなく親と一緒になることがほとんどのため、子どもの睡眠不足改善のためにも大人がしっかりとした睡眠時間を確保しましょう。

また、就寝前の行動にも注意が必要です。

幼稚園や保育園、学校に行っている子どもにとって親との時間は大体夜がメイン。
その日起こった出来事を話したり、TVなどを見ているとついつい子どもは盛り上がってしまいます。

興奮状態のままだと眠りに着くことが難しく、夜更かしをしてしまう場合もあるため、眠る前は本の読み聞かせなどで脳と身体をリラックスさせてあげましょう。

 

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