子どもの睡眠は成長過程において大切ですが、特に幼児期の睡眠は成長ホルモンの分泌や、脳の発達に関係するためとても重要です。「早く寝ることが良い」だけでなく、なぜ子どもの睡眠が成長する上で大切となるかの知識をしっかりと身につけましょう。
目次
夜10時をすぎても寝ない子どもが増えている
日本は世界で一番子どもの睡眠が不足しているというデータが出ています。大人の推奨される平均の睡眠時間は8時間ほどと言われていますが、子ども特に幼児(※ここでは6歳未満とする)は以下の通りです。
生後4ヶ月〜12ヶ月・・・12時間〜16時間
1歳〜2歳・・・11時間〜14時間
3歳〜5歳・・・10時間〜13時間
世界17ヶ国の0歳〜3歳までの幼児の平均睡眠時間のデータを見ると、日本は約11時間というデータがあり、アメリカの睡眠ガイドラインによる幼児の推奨される睡眠平均時間と比較するととても短いことがわかります。
日本の子どもは他国と比べて睡眠開始時間も遅い傾向があり、夜10時をすぎても寝ない・眠れない子ども多くいるとされています。
その原因としてあげられるのが、親の夜型生活です。
親の夜型生活が影響
近年、両親の共働きやひとり親家庭の働き方などから親の帰宅が遅くなるにつれ、子どもの睡眠開始時間も遅くなる傾向があります。親の帰りが遅いとご飯やお風呂などの寝るための準備も遅くなるため、睡眠時間が減ってしまいます。
さらに親の夜型生活はコミュニケーション不足にも影響すると言われています。帰りが遅くなったり、在宅ワークやテレワークなどで仕事とプライベートの線引きがしっかりできていないと子どもとの会話不足や愛情を感じられないなどの問題を引き起こしかねません。
1歳〜5歳はメラトニンの分泌が増加
1歳から5歳はメラトニンの分泌量が一番多い時期で「メラトニンシャワー」とも呼ばれています。メラトニンは成長する過程においてとても大切なホルモンで、細胞を守る・規則的な睡眠を促す・新陳代謝を促す・怪我や老化防止などさまざまな効果を持つとされています。
子どもがしっかり成長するには、成長ホルモンを分泌させることが重要で、この成長ホルモンは睡眠中に分泌されるため、睡眠と子どもの成長には深い関係があるのです。
成長ホルモンの分泌も多い
成長ホルモンは生後3ヶ月から分泌されることがわかっており、脳の眠りとも言われるノンレム睡眠中に分泌されます。
この成長ホルモンは、軟骨を形成し骨を作っていく・免疫力の強化・筋肉を増やすなどの作用があり、幼児期にしっかり睡眠時間を取ることは低身長防止や、健康的な身体を形成する上でとても重要ということがわかります。
成長ホルモンは特に幼児期の4歳〜5歳の時期に一番分泌されると言われているため、幼児期は親や周りの大人が子どもにしっかり睡眠時間を確保してあげることで、成長障害を防ぐことができます。
子どもの睡眠不足は日常生活にも影響する
子どもの睡眠不足は成長だけでなく日常生活にも影響を及ぼします。
しっかりとした睡眠時間を確保できないことにより、日中の眠気・集中力の低下・疲労感などを感じ、イライラすることが増えたり、言葉や言動が暴力的になったりなどの行動がみられる場合もあります。
睡眠時間を確保できないことは成長ホルモンの分泌が低下してしまうため、幼児期にしっかりとした身体つくりができないことから、将来肥満やうつ病、生活習慣病になりやすいというデータもあります。
幼児が夜しっかり眠るためにできること
幼児期は自分で睡眠不足だと気づくことができません。そのため、周囲の親や大人が子どもの睡眠不足のサインに気づくことや、子どもが睡眠不足にならないような行動を一緒に取ることがとても大切です。
では、幼児期の睡眠不足を防ぐためにはどのようなことをすれば良いのでしょうか?
ここでは日常生活の中ですぐにできる睡眠不足回避の行動をご紹介します。
日中にしっかり外遊びをし太陽光を浴びる
まずは日中にしっかり外で遊び、太陽光を浴びせましょう。睡眠に大切なメラトニンは日中に太陽光を浴びることにより、夜にたくさん分泌されます。
メラトニンをたくさん分泌させるために外で遊ばせることは、体力も使うことになります。メラトニンだけでなく、身体の疲れがないと夜しっかり眠ることが難しいため、お天気の良い日はなるべく外で遊ばせてあげましょう。
その際、昼寝の時間を取りすぎないこと・夜眠る前に携帯やTVなどを見過ぎないことが大切です。特に夜のTVや携帯を見る行為は、光によってメラトニンの分泌が抑えられてしまうため、せっかく日中に太陽光を浴びても無駄になってしまいます。
夜20時には眠れるようにする
「子どもは20時には寝なさい」という言葉をよく耳にするかと思いますが、なぜ20時なのでしょうか。
第一章で見た子どもの平均推奨睡眠時間の調査を見ると、幼児期の平均推奨睡眠時間は10時間以上。夜20時に寝て朝7時に起きると考えると睡眠時間は11時間となります。
幼稚園や保育園、小学校にいく子どもの平均起床時間は6時〜7時です。夜の睡眠開始時間が遅ければ遅いだけ、平均推奨睡眠時間より少ない睡眠時間になってしまうため、「夜20時には寝なさい」という言葉が普及したのではないかと考えます。
幼児期の睡眠時間は子どもの兵長のためにはもちろん、親や周りの大人の生活リズムや自分の時間の確保のためにもとても大切となるため、夜20時には眠れるように日中から子どもの睡眠時間のことを考えて生活することを心がけましょう。